2012/09/20

In-Stream ベンチマーク調査結果のレポートが発表 (mediamind)

要約

VAST と呼ばれる動画配信テンプレートを利用した動画広告は約 10 億配信されましたが、全体で 2.84% の CTR(クリック スルー レート)を記録しました。20 億近く配信された VPAID については、CTR は 1.63% に留まりましたが、インタラクション率は 9.57% と非常に高い結果が出ました。

オンライン動画の現状

デジタル マーケティングにおいて、動画が非常に重要な位置を占めてきているというのは、マーケターの皆さんが感じていることでしょう。実際、comScore 社の調べによると、2012 年 6 月に世界中で約 12 億人以上のインターネット ユーザーが約 2,000 億のオンライン動画を視聴したと言います。この数にはモバイル デバイスは含まれていませんが、この他の調査ではオンライン動画の視聴に使うデバイスは、TV や PC からモバイルに移りつつあることも報告されています。
Nielsen 社の 2012 年 5 月の調査「Global Online Consumers and Multi-Screen Media: Today and Tomorrow」によると、2011 年の第 3 四半期(7-9 月)には、全世界のインターネット ユーザーの 74% がオンライン動画を、57% がモバイル動画を見ており、いずれも 2010 年と比較すると微増していることが報告されています。さらに、TV で動画を見る人は 83%、PC で見る人は 84% となり、TV よりも PC の方が初めて比率が高くなりました。その他インターネットに接続可能なデバイスについても視聴者が増えており、電話機能のないモバイル端末が 36%、ゲーム機が 33%、タブレットが 28% となりました。


評価指標(メトリクス)

動画の効果を評価する指標には色々なものがあります。CTR(クリックスルーレート)、Dwell(ドウェル)率、コンバージョンなどで、それぞれ利点も欠点もあります。今回は VAST と VPAID についてはCTR と動画 100% 再生率、VPAID についてはアド レベルでのインタラクション率も合わせて見ていきます。



VASTとは?

VAST (Video Ad Serving Template) とは、In-Stream 動画広告を配信およびトラッキングすることを可能にする、米国 IAB (Interactive Advertising Bureau) 推奨の業界標準規格です。
媒体社側の動画プレーヤーと広告レスポンスが VAST に準拠していることによって、VAST を標準サポートしている MediaMind 側で動画広告を配信・管理することが可能になります。




VPAIDとは?

VPAID (Video Player-Ad Interface Definition) とは、In-Stream 動画広告と媒体社側の動画プレーヤーとの相互通信を可能にする、米国 IAB 推奨の業界標準規格です。
本規格をサポートすることによって、広告へのユーザーインタラクションの発生時に動画コンテンツ側の再生などを制御するようなインタラクティブなオーバーレイ広告などを MediaMind 側で配信・管理することが可能になります。

IAB がこの業界標準を制定した際には、3 つの狙いがあったと言います。特定の媒体社やアドサーバー、ネットワークに依存しない動画配信技術の標準化、広告主のためのクリエイティブ仕様の標準化、そして動画広告の流動性向上(複数の媒体社で同じアセットを利用できる)の 3 点です。

VAST の調査結果

VAST に準拠した In-Stream 動画広告は、その他のオンライン広告に比べるとCTR がいくらか高い結果となりました。comScore 社の調査によると、2012 年 7 月には、全米中で 369 億の動画および 96 億の In-Stream 動画広告が見られたといいます。広告は、全米の人口の約 51.6% にリーチした計算になります。
MediaMind は、2012 年の上半期に全世界で 10 億以上のインプレッションをサンプルとして分析を行い、VAST 準拠の In-Stream 動画広告の CTR は 2.84%、つまりスタンダード バナーの 27.4倍、リッチメディアの約 12 倍という結果が出ました。

VPAID の調査結果

VPAID 準拠 In-Stream 動画広告の CTR は VAST よりも低く、1.63% でした。これにはいくつかの理由が考えられます。
VPAID を利用したキャンペーンはダイレクト レスポンスよりもブランディングを目標としたものであること
視聴者はアドに対してインタラクションを起こしますが、必ずしもクリックするわけではないこと
多くの場合は長尺の動画コンテンツ(TV 番組や映画など)内で配信されており、視聴者をランディング ページや専用サイトに遷移させることは、コンテンツ視聴を邪魔することとなので控えるべきであること


VPAID は CTR が低くとも、視聴者がアドにどのように、何回インタラクションを起こしているかを計測することができます。
VPAID ではインタラクション率(インプレッション数に対して、どのぐらいインタラクションが起こされていたか)を計測することができます。調査の結果は、9.57% でした。キャンペーンによっては、1 インプレッションに対して 5 回のインタラクションがあり、インタラクション率が 500% となるものもありましたが、調査結果の標準化のために 30% を超えるものは分析の際に除外しています。
動画広告、つまり動画を伴うリッチメディア、VAST および VPAID のフォーマットをそれぞれ分析したところ、動画の長さは 10 秒から 30 秒でした。中でも VPAID は 100% 再生された率が高く、68.14%。これに対して VAST は 66.21%、動画を伴うリッチメディアは 57.87% でした。

結論

オンライン動画の需要はますます高まると見込まれます。全米だけのデータですが、eMarketer の予測では、2012 年には 1 億 6,930 万人のインターネット ユーザーが動画を見るのに対して、2016 年には 2 億 140 万人になるだろうと言われています。オンライン動画広告も、PC およびモバイル端末への配信で、2012 年には 29.3 億ドル(約 232 億円)の市場規模から、2016 年には 80.4 億ドル(約 636.5 億円)に成長することが見込まれています。


MediaMind の当調査でも、CTR、インタラクション率、動画 100% 再生率の 3 つのメトリクスで、リッチメディアよりもオンライン動画の効果が高いことが明らかになりました。動画は、クリエイティブ制作のイニシャル コストがかかるものの、その効果は疑いもないところです。MediaMind のデジタル キャンペーン管理プラットフォームの利用により、そのクリエイティブを存分に生かす配信を行い、効果を上げていただくことができます。

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